『韓国版 リトルフォレスト 春夏秋冬(字幕版)』のあらすじと感想
【韓国版】リトルフォレスト 春夏秋冬(字幕版)のあらすじ
『韓国版 リトルフォレスト 春夏秋冬(字幕版 2019)』のあらすじと感想を書きました。参考にして頂けると幸いです。
ミソン里の冬
ヘウォンが帰郷
へウォン(キム・テリ)は、三か月前の冬に、ソウルからミソン里に帰郷した。
実家は無人である。庭で薪を割っていると、ウンスク(チン・ギジュ)がバイクで訪ねてきた。二人は再会を喜びあった。
ウンスクは、短大を卒業して農協に勤めている。室内に入ると、彼女が、教員採用試験に落ちたから帰ってきたの? と聞く。
ヘウォンは、お腹が空いたから戻ってきたと笑った。実際は、ウンスクの言う通りで、恋人が教員採用試験に受かり、ヘウォンは落ちてしまった。
後日、叔母が訪ねてきた。煙突から出た煙で、ヘウォンの帰郷を知ったという。叔母の家で食事をとった。
帰宅すると、庭でジェハ(リュ・ジュンヨル)が白い子犬を抱えて待っていた。彼は、大学を卒業すると帰郷して果樹園を開いていた。
子犬をプレゼントされる。
名前は、5番目の子ということで【五狗(オグ)】といった。ヘウォンは、オグを抱いて就寝する。
大学入試試験日に母が失踪
ヘウォンは、大学入試を受けた日を思い出した。
試験から帰宅すると、母親(ムン・ソリ)の姿がなかった。ヘウォンは、早くに父を亡くしている。
夜になって叔母が訪ねてきた。母親は、ヘウォンの面倒を叔母に頼んでいた。叔母は理由を聞いたが母親は答えずに去ったという。
叔母が帰ると、ヘウォンは涙を流した。そして、一人で生きていけることを証明すると決意する。
ジェハが、母親を探そうとしないヘウォンを訝しがる
ウンスクとジェハは、ヘウォンの自宅で餅をご馳走された。
ジェハが、塩っ気があると感想を述べる。そして、ヘウォンの母親の餅は甘かったと続けた。
母の餅はカボチャが使用され、ヘウォンは、小豆と塩を使っていた。
夜になり、ウンスクたちは、翌日も来ると言って辞去する。
ジェハが、車でウンスクを送っていく。ハンドルを握りながら、なぜヘウォンは母親を探そうとしないのかと聞いた。
「プライドじゃない?」
「母と娘なのに?」
「母と娘だからよ。ヘウォンはプライドが高いの。だから、彼氏とも喧嘩したのよ」
ヘウォン、故郷に帰ってきた意味を考える
ヘウォンは、薪を割った後に、マッコリを作り始める。幼少期に、母が作ったマッコリを一口飲ませてもらったことを思い出した。
酸っぱい大人の味だった。
ジェハとウンスクにも振る舞う。
ウンスクが、ソウルから戻った理由を聞く。彼女も、ソウルに憧れていた。
ヘウォンは、コンビニのアルバイトでは生活できないからと返した。
しばらくすると、ジェハとウンスクが酔いつぶれてしまう。
テーブルに突っ伏しているジェハが「都会で暮らしてみて農業の素晴らしさに気づいた……春になると新芽が出る……」と寝言を口にした。
ヘウォンは、笑みを浮かべて耳をすませる。
ジェハたちが帰ると、ヘウォンは夜空を見上げて胸の内で呟く。
<ジェハは答えを得て帰郷した、だが自分は、逃げるように帰ってきた……>
<春に小さな精霊が現れるまで、ここにいれば……答えは見つかるだろうか>
ミソン里の春
失踪した母親は料理の達人
春になり、山が緑に色づいた。ヘウォンは、畑にジャガイモの種芋を植えていく。
農作業からの帰り道に、ワラビを採った。庭で天日干しにかける。
ウンスクが農作業を手伝う。だが、ジェハが「植えなおせ、間隔を詰め過ぎだ」と注意して喧嘩が始まる。
ヘウォンは、そんな二人に顔をしかめた。
そして、都会の大学で、虫におびえる友人を思い出し<ここの土と空気に育てられた>と実感した。
近所のおじさんが訪ねてくる。
彼は「ヘウォン、食べろ」と言って、鶏を放り投げた。鶏が羽をばたつかせ、ヘウォンは悲鳴をあげる。
ヘウォンの困りごとは、料理をするたびに思い出す母親だった。
【集中しなさい。料理は心を映す鏡よ】
「お願い、私の頭の中から消えて」
ヘウォンは、そう言い放つが、記憶の中の母親は、まとわりついてきた。料理が上手な母親にコンプレックスを感じているのだった。
母からの手紙
差出人が書かれていない手紙が届いた。手紙は、母親からで、ジャガイモパンのレシピが書かれていた。
「家出して、娘によこす手紙がパンの作り方?」
田植えの休憩中、ヘウォンは、ジェハに怒りをぶつけた。ジェハが、自分のレシピを書いて返送すればいいとアドバイスする。
ヘウォンは、母が住む住所を知らなかった。そして、自分が帰郷していることを、母が知っているのはなぜなのか? と訝しがる。
ミソン里の夏
母のクレーム・ブリュレ
夏になった。
うだるような暑さの中、ヘウォンが、自宅の庭で、ウンスクの愚痴を聞いている。
ウンスクは、農協に勤めている。彼女は、上司が外回りから帰ってくるのが終業間際であることに怒っていた。
ヘウォンは、辞めればいいと言い放った。
ウンスクが、他人事ね……辞められるなら悩まないでしょと呆れる。
彼女は「話が通じない、おたんこなす、いや、イモだわ」と言い捨てて帰っていった。
ヘウォンはジェハに相談すると、気にするなと言われる。
幼少期、母親に、学校の友達から仲間外れにされたと報告したことを思い出した。
母は「相手にすると、余計に苛められるわよ」と諭している。
当時のヘウォンは、母のその態度に腹を立てた。母は、ヘウォンが傷つかなければ復讐は成功よと娘の頬をつついた。
回想を終えたヘウォンは、農協に出向いた。
窓口で業務中のウンスクに【ラ・ジョワ・ドゥ・ビ・ドン・クレーム・ブリュレ】を差し入れる。
ウンスクは、周囲に視線を走らせながら、それを口にした。
【ラ・ジョワ・ドゥ・ビ・ドン・クレーム・ブリュレ】は、ヘウォンが幼少期に作ってもらった、母親のお菓子である。
そのお菓子を食べると、ヘウォンは機嫌を直したものだった。縁側で食べた記憶が蘇り、母親を魔術師のようだと述懐する。
母のトマト
ヘウォンは、照りつける日差しを真上から浴びて、農作業をしていた。
屋外スピーカーから、里長による高温注意報がアナウンスされた。トウガラシ畑で里民が、熱中症で倒れたという。
ヘウォンは、汗を拭い自宅に戻った。シャワーを浴びて、扇風機を回す。冷やしそうめんを食べ、庭に視線を移した。
高校時代の夏を思い出す。
木陰のベンチで、母親と並び座り、トマトを食した。シングルマザーの母親に恋愛しないのかと聞く。
母は、大人になったわねと笑い、亡くなったお父さんとの激しい恋で、その気はないと笑った。
ヘウォンが、父に会いたい? と問いかける。母親は答えずに、ヘタを畑に放り投げた。
ヘウォン、恋人と別れる
真夜中の川で、ヘッドライトをつけたヘウォンとジェハがカワニナを捕っている。
二人は、中州に座った。LEDランタンの明かりで、カワニナを食する。
ヘウォンがジェハを見つめる。
ジェハが「彼氏の時も、食べるのをじっと見るのか?」と聞いた。ヘウォンは、迷惑かな? と聞き返して彼氏の言動を思い返した。
ソウルの大学で彼が友達に「時間の無駄だよな」とヘウォンの弁当の愚痴を言っていた。それ以来、ヘウォンは弁当作りを止めている。
「不愉快だった」とヘウォンは顔をしかめた。だから別れたのか? とジェハが尋ねるが、ヘウォンは彼と別れていない。
ジェハは、帰郷したことで恋人と別れて泣いたことを打ち明ける。そして、会社に勤めていた時は、生きる理由が分からなかったと続けた。
ヘウォンは帰宅すると、恋人に電話をかけた。
「フン、久しぶり。伝えたいことがあって」
「別れたいのか?」
「それもあるけど、試験の合格、おめでとう」
「ありがとう」
ヘウォンは、別れの台詞を最後まで覚えていなかった。だが、「逃げたのではなく、故郷に戻っただけだ」と言ったことは記憶している。
ミソン里の秋
ウンスクが、元カノと歩くジェハを見て落ち込む
秋になった。
ヘウォンが農協でお金を下ろして外に出る。ウンスクが声をかけてきた。
ヘウォンは、ジェハに告白したのか聞いた。
「そろそろジェハも気づいているはずよ」ウンスクは、視線を落として言った。
「言葉にしないと伝わらない」
ヘウォンは、そう言って自転車を漕ぐ。心中で<私も人のことは言えない>と呟いていた。
彼女は、コンビニの客から暴言を吐かれても耐えていた。
そして、ウンスクは、とうとうカラオケを歌唱中の上司の頭をタンバリンで叩いてしまう。給料日の前日だったが支給され、部長は異動になった。
ウンスクは、ヘウォンと共に、ジェハが別れたはずの彼女と歩いているところを目撃した。ヘウォンの自宅の庭で「色白美人だった。敵わないわ」と落ち込む。
二人の元を、ジェハが訪ねてきた。
元恋人を忘れられなかったのは、ジェハの元カノの方だった。ジェハは、動揺しながらも「好きな人ができた」と言って彼女を帰したと打ち明ける。
ソウルに戻ろうとしないヘウォンの真意
ジェハが、果樹園でリンゴを収穫している。
ヘウォンは、立ち寄ったものの手伝おうとしない。
ジェハが「ソウルに戻ると言ってたのに、ここで農作業を? それで問題が解決するとでも?」と言った。
直後、彼は気まずそうな表情になって沈黙が続く。
ヘウォンは「そうよね。早くソウルに戻って将来を考えないと」と笑った。
果たして、ヘウォンは母親の所在を掴めるのか? ソウルに戻って教員試験を再び目指すのか?
続きが気になった型は、本編でどうぞ。
【韓国版】リトルフォレスト 春夏秋冬(字幕版)の感想/ヘウォンは、なぜ帰郷したのか
本作は、ヘウォンがミソン里に滞在する一年間が描かれています。
なぜ、数か月の滞在のつもりが、一年も経ってしまったのか気になりました。
ミソン里の農作物を使った母親の料理を再現して、疲れを癒していたのではないでしょうか。
中でも、【クレーム・ブリュレ】のお菓子が印象に残りました。
幼少期のヘウォンは、そのお菓子を母親に作ってもらって機嫌を直しています。
大人になったヘウォンが、【クレーム・ブリュレ】を再現して、喧嘩したウンスクに差し入れしました。
二人は仲直りしています。
ヘウォンにとって母親の【クレーム・ブリュレ】は、精神安定剤だと感じました。