『時間回廊の殺人』あらすじと感想【息子のために人生を投げうつミヒに感動】
『時間回廊の殺人』のあらすじと感想を書きました。参考にしていただけると幸いです。
タイトルから分かるように、タイムリープ(ウィルン洞34番地のみ)を題材としたミステリーです。
フーダニット(誰がミヒの息子をさらい、誰が彼女の夫を殺めたのか?)作品として楽しめました。
そして、息子・ヒョンジェに会うために、この世ならざる【あいつら】に立ち向かう母親・ミヒに、胸を打たれました。
ここで、注意点が一つあります。
ホラー要素が強めでした。
個人的に、【あいつら】が怖かったです。
以下、あらすじになります。
三幕構成(設定、対立、解決)のうち設定だけ書きました。
『時間回廊の殺人』あらすじ
1992年11月11日のウィルン洞34番地失踪事件
カン・ミヒ(キム・ユンジン)は、リビングの床で目を覚ました。
上体を起こす。
こめかみに血が滴りおちた。壁かけ鏡に顔を映して血を拭き取る。鏡にヒビが入っていた。
階下で何者かの叫び声が、あがる。床から刃物を拾いあげた。
ヒョジェ。息子の名前を呼び、地下室に下りた。夜更けの窓から雷光が差し込む。ミヒの顔の左半分が際立った。
彼女は、目を見開いた。
電灯の仄かな明かりの下で、夫のチョルジュンが仰向けに倒れている。
ヒョジェが、こちらに歩いてきた。顎を引いて、睨んでいる。
ミヒは柔和な笑みを浮かべた。
ヒョジェの後ろでドアが開け放たれている。漆黒の空間が、彼を吸いこんでドアを閉じた。
絶叫し駆け寄った。扉を開く。岩盤で塞がれていた。
息子の名前を呼び続ける。
翌朝、ミヒは、夫と息子殺しの容疑者として逮捕される。
25年ぶりの我が家
白髪のミヒが、警察車両から降り立つ。
我が家に足を踏み入れた。キッチンから刃物を持ち出し、地下室へ通ずるドアを睨む。
ドアの向こうから何かを叩く音が響いた。後ずさりした。出てきなさいよと叫ぶ。
尻もちをついて、振り返った。
リビングテーブルが目に入る。
夫、息子2人との食事風景が蘇った。ミヒを含めて、全員が笑みを浮かべている。
回想を終えた。
ヒビの入った鏡の前に立つ。25年前、頭を打ち付けた鏡だ。不意に、小さな人影がミヒを追い越す。
後を追う。
階段の途中で足を止めた。地下室を舐めるように見渡す。
来客が入った。
玄関ドアを開けると、チェ神父が笑いかけてきた。
彼は、受刑者の支援者で、記入して欲しい書類があるという。
チェ神父が、リビングのソファに腰かけて神妙な顔つきをする。
「あの日、ここで何があったのでしょうか?」
ミヒは、追い返した。しばらくして、チェ神父が訪ねてきた。ヒョジェ失踪事件を調べているという。
ミヒは袖をまくった。チェ神父が目をみはる。
腕に火傷の痕が残っていた。
ヒョジェを探すために耐えてきた……あの日のことを知りたいって?
チェ神父を地下室に案内する。彼は、犯人の名前を知りたがった。
ミヒが視線を落としたまま、あいつらと呟く。
チェ神父は扉を開けた。手の平で岩壁を触る。
あいつらがヒョジェを連れていった。
ミヒが、チェ神父の背中に声をかける。神父は厳しい表情で彼女を見つめた。
1967年11月11日のウィルン洞34番地失踪事件
チェ神父は、役所に向かった。
職員の女性に、ミヒが引っ越してくる前の住人を尋ねる。
書類を渡された。老夫婦とある。老夫婦以前の記録はないという。
チェ神父は、再び質問した。
職員の女性は、しつこいと声を荒げた。
上司らしき男性が立ち上がる。
彼いわく、ウィルン洞34番地の家は幽霊屋敷で有名だったという。1960年代にも、失踪事件があったと思い返す。
チェ神父は、クムサン警察署に向かった。
被害者を祈りたいと言って、昔の資料を求めた。保管室に案内される。
資料を読み込んだ。白黒写真が挟まれている。
若い女性を挟んで、姉妹らしき少女が微笑んでいた。
1967年11月11日にウィルン洞34番地で、母親と二人の幼い娘が失踪したと説明書きがあった。
さらに、調べを進める。
1942年のウィルン洞34番地でも、日本人夫婦が失踪していた。
当時の事件を取材した男性に話を聞く。
チェ神父は、失踪事件の規則性に気づいた。
あいつらが姿を現すXデー
ミヒが、リビングで服薬した。18時になり柱時計が鳴る。
時計の真下に鏡があった。彼女が、25年前に頭を打ち付けた鏡だ。
鏡をまじまじと見つめる。
熊が引っ搔いたような血痕が浮かび上がっている。
鏡越しの背後で、少女が横切った。
ミヒは、ツルハシを持って地下室に向かった。
ヒョジェが取り込まれた扉を開ける。ツルハシを岩盤に振り下ろした。
出てこいと叫んだ。反応はない。ミヒは、吐血した。
もうやめてってば。
不意に、話し声が聞こえた。振り返り、恐る恐る近づいた。
二人の少女が、背を向けてしゃがみ込んでいる。
誰なの? ミヒは問いかけた。
少女たちが肩越しに、こちらを見る。ミヒは、階段を駆け上がった。
扉を開ける。
廊下に和装の女性がいた。背中を向けている。ゆっくり、振り向いた。
目を見開いたまま、刃先を向けてきた。
ミヒは、慌てて扉を閉めた。扉の向こうから、カツカツと物音が響いてくる。
音が鳴りやんだ。
こわごわと、扉をあけ視線を走らせる。
誰もいない。
リビングに戻り、しゃがみ込む。息子を返して……。
涙を流した。
チェ神父が訪ねてきた。
「今日がXデーです、逃げるべきです」
ミヒは首を横に振った。
「なおさら、あいつらを待つわ」
果たして、ミヒは、あいつらから、ヒョジェを取り戻せるのか?
気になった方は、本編をどうぞ。
『時間回廊の殺人』感想【息子のために人生を投げうつ母親に涙】
冒頭で書いたように、『時間回廊の殺人』はタイムリープかつミステリー映画です。
ミヒの息子・ヒョジェを連れ去ったのは、彼女に近しい人物だろうか? などと推理しながら視聴しました。
ミヒの、息子を想う愛情に感動しました。
ただ、ホラー要素が強いです。
たびたび登場する【あいつら】で、視聴を続けるか迷いました。
母・ミヒは、ヒョジェを連れ去った何者かを【あいつら】と呼んでいます。
特に、開始30分過ぎに登場する【あいつら】が、不気味です。
23インチのモニター上の動画を、スマホサイズに縮小して、なんとか乗り切りました。
そんな私が鑑賞して良かった作品なので、ぜひ観てください。