『天使のくれた時間』あらすじ【ジャックが気づいた幸せとは】
今回の記事は、『天使のくれた時間』のあらすじになります。三幕構成(設定、対立、解決)のうち、設定と対立の一部を書きました。
恋人を振って、エリート金融マンとなったジャック。彼は、パラレルワールドに迷い込みました。恋人を振らずに、平凡なタイヤセールスマンとしての人生です。お金と家族。ジャックは、どちらに幸せを見出したのでしょうか。
『天使のくれた時間』あらすじ
天使のくれた時間 [Blu-ray]
1987年。ケイトの悪い予感
1987年。
空港で、ジャック(ニコラス・ケイジ)が、ケイト(ティア・レオーニ)と向かい合っている。彼は、搭乗ゲートに向かった。背後から、ケイトに呼び止められる。
彼女は、嫌な予感がすると顔を曇らせた。
ジャックが、諭すように返す。
「飛行機の墜落なんかあり得ない、バークレー銀行での研修は名誉なことだ」
ケイトの目が潤んできた。
「全てを白紙に戻して」
ジャックは、無言で、彼女に口づけをした。彼の愛しているの言葉に、ケイトの顔が和らぐ。
ジャックは苦し気に口を開いた。
「例え、百年離れ離れになっても僕らは変わらない」
ケイトの顔が歪んだ。ジャックは、背中を向け歩を進める。
ジャック、13年後にケイトから連絡を受ける
1990年のクリスマスイブ。
ジャックは、ニューヨークのタワーマンションから、フェラーリで出勤した。
PKL投資会社の前に車を止め、会議室に向かう。
部下の役員たちが集まっていた。2日後の企業合併の成功に向けて檄をとばす。
クリスマス休暇も許さないほどの厳しさであった。
会議が終わった。
社長室に戻ると、女性秘書からメモを渡された。ケイトから、電話がかかってきたという。
ジャックは、13年前に、空港で引き止められたことを話す。
女性秘書が、それで独り者? と笑みを浮かべた。
彼女が電話の受話器を取る。ジャックは制止した。
「昔の恋物語だ」
会長が入室してきた。ジャックは、彼に、昔の女から電話があったらどうするか聞いた。
会長は、過去は過去だと笑みを浮かべる。
ジャックは、神妙な顔つきで、女性秘書をみやる。彼女は、悲し気な顔つきで、社長室を出た。
ジャック、初対面の男に名前を呼ばれる
ジャックは、退勤した。粉雪に気づき、足を止めた。夜空を見上げる。外灯に照らされた彼の表情は、柔和だ。
再び、歩を進めた。等間隔に外灯が並び、街路樹には、イルミネーションが灯っている。
こじんまりしたスーパーマーケットに立ち寄った。エッグノッグ(ホットドリンク)に手を伸ばす。
黒人の男(ドン・チードル)が入店した。彼は、レジの上にロトのチケットを置いた。換金を頼むが、店員に拒否される。
数字に線を引く不正があるという。
店員が警察を呼ぶぞと叫んだ。男が、銃を取り出す。店員の顔に焦燥の色が浮かんだ。
ジャックは、強張った顔で歩み寄り、ロトのチケットを買うと申し出た。
男に銃口を突きつけられた。
ジャックは、物静かに、話した。
これは、ビジネスだ。200ドルで買い取り、他の店で現金化するーー。
男が、銃を下ろす。
「行こうぜ、ジャック」と声を張り上げ、店外へ出ていく。ジャックも続いた。
雪の勢いが強くなっている。
ジャックと男は、大通りの歩道で並び歩いた。男に、なぜ、自分の名前を知っているのか問うた。
男は、そんな顔だと肩をすくめるだけである。彼に現金を渡し、ロトのチケットを受け取った。
去り際の男に、銃を持ってはならないと警告した。仕事の斡旋もすると続ける。
男は、呆れた顔つきで、お前も何か必要だろ?と聞いた。
ジャックは、「全部ある」と言い切った。
「これからの出来事は、あんたが招いたことだ」
男は、そう言って、歩を進めた。ジャックは、呆然と、彼の背中を見つめ続ける。
タワーマンションに帰宅するなり、床についた。
ジャック、別の世界(ケイトと結婚)に迷い込む
ジャックが、目を覚ました。眉をしかめ、戸惑う。お腹の上に、女性の頭があった。
顔を覗き込み、天井を仰ぐ。
女の子が小さな男の子を抱えて入室してきた。
「パパ、起きて」
ジャックは、跳ね起きた。ベッドから距離を置く。
服を着て一階に降りる。玄関から来客が入ってきた。
「メリー・クリスマス」ジャックは口を半開きにして、声の主を見つめる
我に返って「ロレイン!」と呟く。隣に、エドがプレゼントの箱を抱えている。
外へ出る。庭に雪が積もっていた。室内に戻り、フェラーリがないと声を張る。
エドが怪訝そうにジャックを見つめた。ジャックは、彼から借りたキャデラックを走らせる。
ジャック、タワーマンションに向かうが……
タワーマンションの前に、キャデラックを停めた。エントランスに向かう。警備員トニーがはだかった。
「居住者専用です」
「最上階のジャックだよ」
おどけた声音で言ったが、トニーの目は冷ややかであった。
顔なじみの隣人がエントランスに向かう。彼女も、ジャックを覚えていない。
「責任者に報告してクビにしてやる。猿芝居はやめろ」
ジャックは、悪態をついて、キャデラックに戻った。
PKL投資会社へ移動した。
受付のフランクも、ジャックを覚えていなかった。
社長は、自分だと豪語する。しかし、PKL投資会社の社長は、アランであった。
ジャックは、困惑した顔で会社を出た。フェラーリがジャックの前に止まった。
ロトを換金してやった男が運転席から手を降っている。
「僕の車だ」
「あんたが面食らうのも当たり前だ。説明するよ」
ジャックは、助手席に乗り込んだ。
「この僕が何をした」
「全部あるって言ったろう。きらめきを見たんだ」
「何の?」ジャックは狼狽えた。
「自分で考えろ。必要なら時間を好きなだけやるよ」
フェラーリが止まった。呼び出しベルを渡され、車を下ろされた。
「別世界に放り出して、見捨てる気か?」
フェラーリは逃げるように、急発進した。ジャックは、呆然と、佇む。
ジャック、別世界のケイトに戸惑う
キャデラックに乗り込み、来た道を戻った。道に迷い、男に声をかける。
友人らしいが、記憶にない。
別の人生を歩む自身の話に戸惑いながら、帰宅した。
ケイトが、安堵した表情でジャックを出迎える。
「クリスマスの朝に、家族を残して消えるなんて」彼女は、鼻声だった。
ジャックは、思いのたけをぶつけた。
ニューヨークの住人であること
目を覚ましたら、ケイトの家にいたこと
ここは、僕の家ではない
子供の父親でもなく、ケイトの夫でもないこと
ケイトは背中を向けた。
「娘の喜ぶ顔を見ないなんて。クリスマスだったのよ」
ジャックは、すまないと謝罪した。ケイトは、パーティーの準備にとりかかった。彼女に、欠席したほうが懸命だと言うが、子守を頼まれた。しぶしぶ、パーティーに参加することになった。
夜を迎えた。パーティー会場は、友人宅だった。
ケイトが、友人と談笑している。ジャックは聞き耳を立てた。ケイトが、セーターに刺繍を入れて貰ったところ、スペルが間違っていたという。
弁護士(LAWYER)の綴りが、ただで寝る女(LAYER)と間違っていて、気づかずに歩き回ったという。
ジャックが、口を開いた。
「善意の弁護士だったのか。それで収入がない?」ケイトたちは、戸惑いがちにジャックを見遣る。
パーティーが終わり帰宅した。犬の散歩を終え、就寝する。
ジャック、別世界の子供に戸惑う
翌朝、ケイトに促され、息子ジョシュのオムツを替える。
背後から、パパじゃないでしょ?と声をかけられた。ジャックは、口を半開きにして振り返った。
アニーが鋭い視線を向けている。
「違うよ。ウォール街の社長だ。億ションに住んでいる。ここは、別世界だ」
「本当のパパは、どこ?」
ジャックは、戸惑いがちに口を開いた。
「でも心配するな。すぐに戻ってくるさ」
アニーは、恐る恐るジャックの頬をさわった。鼻をつまむ。
「エイリアンでしょ?」アニーは、涙ながらに「子供は好き?」と聞く。
「ケースバイケースだ」
アニーの顔が和んだ。「地球に、ようこそ」
ジャックが、車をプレイランド保育園の前に止める。
道に雪が残っていた。
赤ん坊のジョシュを保育園に預ける。続けて、アニーを、バレエ教室へ送り届けた。彼女を降ろしたあと、次の行き先を聞いた。
ビッグ・エド。
ジャックの勤め先だという。
ジャック、別世界の自分に戸惑う
ビッグ・エドに出勤した。タイヤの販売店である。
店内に歩を進めた。数人の販売員や整備士に挨拶をされる。ジャックは、戸惑いがちに挨拶を返していった。
事務室を教えられ、椅子に座る。背後に、表彰状が飾られていた。
最優秀セールス賞ハットン社。
その下に、ケイトと並んで微笑むジャックの写真がある。
「1988年?ロンドンにいたはずだ」
店内放送が響いた。
マグホイール売り場に、客が訪れたようだ。売り場を案内した新人に、自分はなぜ、ここで働いているのか聞いた。
新人は、苦笑いを浮かべて持ち場に戻る。
帰宅した。
ケイトの顔をまじまじと眺める。
「きれいだ。学生時代も可愛かったが、本当に美しい女に成長した」
ケイトは、最初こそ、笑みを浮かべていたが戸惑いの表情を浮かべる。
「どうしたの?13年ぶりに会ったみたいな目をして」
ジャック、収入の低さに不満
二人の子供、ケイトとデパートに向かった。
ジャックは、紳士服売り場へ立ち寄った。スーツを試着して満足げな表情を浮かべる。
これをもらおう。
ケイトが値札を見た。「2400ドルもする、脱いで」と言い放った。
ケイトを呼び止めた。
僕は、どんな人生を送っている?ジャックは、日常生活の不満を、淡々と口にした。
犬の散歩
子供を送り届けて、8時間のタイヤ小売り。
ケイトは、眉に皺を寄せた。
「そんなに人生に絶望しているなんて」
「今の何千倍も成功した男になれたはずだ。僕の夢を壊すとは」
ジャックが声を張り上げた。
ケイトは、冷静に、あなたは誰なのかと問う。
ジャックは、深呼吸した。謝罪の言葉を口にし、別の男と結婚したんだと言う。
ケイトが、彼に詰め寄る。
「そうね。私が結婚したジャックは、2400ドルのスーツを買うほど見栄っ張りじゃない。子供たちの学資から工面するから買えば」
ケイトが紳士売り場を出ていく。
ジャックは、スーツを脱いだ。
ケイトは、ジャックとの結婚に満足
ハンドルを握りながら、ジャックが口を開いた。
「悪かった。時々、人生の結末を考えるんだ。学生の頃、今の自分を想像できた?」
助手席のケイトは、彼を一瞥し、外に視線を向けた。外灯が、不規則に彼女の顔を照らす。
ジャックが、人生で一番驚いたことを聞いた。
ケイトは、後部座席を振り返った。「アニーよ」
続けて、エドの心臓発作をジャックが救ったことを教える。
「だから、エドの店で働いているのか。赤ん坊、エドの心臓発作、今の家を買って、さよならウォール街……月並みな人生だ」
ケイトが、苦し気な顔つきをする。
ジャックが質問を投げかけた。「君なら、なんて?」
ケイトは、ジャックを見据えた。
「偉大なる成功物語」
ジャック、投資会社に就職。しかし、ケイトは不満
PKL投資会社の会長が、店にやってきた。タイヤがパンクしたという。
ジャックが対応した。
数日後、車を会社まで、送り届けた。
駐車場係からでも、いいからやり直したいと、会長とアラン社長に訴えた。
アランは不満を口にしたが、会長はジャックを役員に迎え入れた。
ニューヨークの新居にケイトを招待する。アニーを転校させケイトの仕事も、ニューヨークにすると言った。
だが、ケイトは怒った。郊外での暮らしに満足しているという。
浮かない顔で、郊外の自宅に戻った。
ケイトが悲し気な顔つきでジャックに声をかける。郊外で老夫婦で孫を迎えたい。だが、ジャックについていく、愛しているわ。
ジャックは、真剣な顔つきで彼女を見つめた。ケイトが部屋を出た。天井を仰ぐ。
アニーと外で遊ぶ。彼女はジャックに抱きつき本物のパパだと笑う。ジャックは、満面の笑みを浮かべた。
スーパーマーケットへ岩塩を買いに行く。レジに、黒人の男がいた。
ジャックは、彼に、戻らないぞと叫んだ。
果たして、ジャックは、新しい家族の元に、留まれるのか?
気になった方は、本編へどうぞ。