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『藁にもすがる獣たち』あらすじと感想【伏線に感心】

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本記事は『藁にもすがる獣たち』のあらすじと感想に、なります。私、かんも、経済的に不安定です。だから、今作品に興味を持ちました。三幕構成(設定、対立、解決)のうち、設定を書きました。


あらすじに入る前に、着目して欲しいポイントをあげます。タイトルの意味と、本編の時系列です。


タイトルの『獣たち』は、金銭的に余裕のない登場人物のことでした。『藁』は、お金です。10億ウォンが入ったボストンバッグ、詐欺を働いてまで得たい保険金など。だから、登場人物は金欠で、お金が目的で行動を起こすのです。

次に着目してもらいたいのは、時系列です。『誰が、過去のエピソード』で、『誰が、現在なのか』分からない展開になっています。


ヒントは、作中のテレビにあります。詐欺で捕まった人物や、事故に遭ったりして亡くなった人物がさりげなく、報道されます。このニュースが、登場人物の末路です。誰の最後なのか推測しながら視聴すると、ストーリーの理解が早いと感じました。


そして、10億ウォン入りのボストンバッグを手に入れる人物が一人います。エンディングで、それを持って移動するのですが、行き先は、警察なのかどうか? 分からないまま終わっています。その人物が、善人か悪人なのかは視聴者の判断に委ねられています。個人的に私は、警察に届けるのではないかと想像しました。

『藁にもすがる獣たち』あらすじ

獣たちの困窮理由

ジュンマン、事業に失敗しアルバイト生活



ホテル・カボのサウナ。アルバイトのジュンマン(ペ・ソンウ)が、清掃していた。テレビに、報道番組が映し出されている。女性アナウンサーの声が響いた。

『湖で、切断遺体が発見』

『路地から飛び出した男性が、ゴミ収集車にひかれる』

『投資金として10億ウォンをだまし取った、オ容疑者が、昨夜、逮捕されました……』


壁掛けのデジタル時計が、6時13分を示す。ジュンマンは、ロッカーの中を一つ一つ、確認した。47番のロッカーに、ボストンバッグを見つけた。

札束に目を泳がせ、大きく息を吐く。後ろを、同僚が通り過ぎた。慌てて、チャックを閉める。カウンターの同僚に声をかけた。

「客の忘れ物だ。夜中に出て行って戻ってこない」

同僚は、小さく、はいと返してスマホに目を戻す。保管室の棚の、奥へしまいこみ、小さなバッグを手前に置いた。




自転車で、帰宅した。軒先のガラス扉には、『港湾刺し身店』とある。道路を挟んだ海は、朝日を淡く照り返していた。妻のヨンソン(チン・ギョン)が暗い顔つきで、床を拭いている。奥の部屋で、母・スンジャ(ユン・ヨジョン)がテレビを観ていた。


オムツをしろと言っただろう。背後から、スンジャに声をかける。スンジャは、振り返ることなく口を開いた。


「ヨンソンは家でゴロゴロしているだろう。そんな心構えでは、お前のお父さんの代のお得意様が離れていく」


ジュンマンは、険しい表情で、スンジャを睨みつけている。深呼吸をして、ヨンソンの元へ戻った。ヨンソンから、娘・ユニが教育ローンを組めず休学、バイトを始めることを知らされた。ジュンマンは、目を逸らした。


ジュンマンは、ホテル・カボのサウナに、出勤した。受付カウンターの支配人に、遅刻をとがめられ、飲み物の減りが早いと愚痴を言われた。ジュンマンは、遅刻を詫び、暑いですからと頭を下げる。


支配人は、去り際に、年だけ食って使えないと吐き捨てる。ジュンマンは、鋭い目つきで、支配人の背中を見つめた。ユノが退勤の準備に入る。出口に向かう彼を呼び止めた。ボストンバッグを受取に、きた人がいたか聞く。

ユノは、いないと即答した。カウンターのビラを見るように促される。行方不明者のビラだった。眼鏡の中年男性。ジュンマンは、戸惑いの表情で、首を傾げる。


ヨンソンが入院した。ジュンマンは、夜勤明けに、見舞いに駆けつける。ヨンソンは、足にギプスを、はめていた。ジュンマンは、神妙な顔つきで、怪我の理由を尋ねる。

ヨンソンは、スンジャの外出を止めようとした。もみ合いになり、殺されると大騒ぎされた。ヨンソンは、そう呟き、顔を背けた。ジュンマンは、すまないと、病室の床に、視線を落とす。


帰宅した。『女性の切断遺体に彫られた入れ墨により身元の確認を進めて……』
テレビから、アナウンサーの声が流れている。スンジャが、ニュースを観ていた。彼女は、テレビに顔を向けたまま、ヨンソンに階段から突き落とされたと言う。


ジュンマンは困り顔で、怪我したのはヨンソンだと言った。スンジャは、お前が優しいせいで、あの女がつけあがると声を荒らげる。ジュンマンは、自室の敷布団に勢いよく寝転がった。


寝過ごしてしまった。サウナのバイトを解雇されてしまう。ジュンマンは、サウナの保管庫から、ボストンバッグを持ち出した。支配人と鉢合わせする。私物の本を取りに来たと言い訳をした。支配人は、どんな本か、ボストンバッグを開けて確認したいと、うっすら笑みを浮かべた。

果たして、ジュンマンは、どう切り抜けるのか?

テヨン、保証人になった妻に逃げられる。10億ウォン強奪計画




テヨン(チョン・ウソン)が、出入国港のゲートで、出国審査をしている。スマホに、メッセージが着信した。【今日は返済日だ。港で会おう】。退勤後、車で大型倉庫へ向かう。倉庫の入口に、車を止めた。


ヘッドライトの明かりで、数人のシルエットが浮かぶ。車から降り立った。
男が、煙草を吸っている。中へ入るよう促された。すれ違いざまに「クソ女にひっかかるからだ」と吐き捨てられる。


2人組が、麻袋に包まれた人のようなものを、運んでいた。怪訝そうに見つめていると、お役人さん! と呼び止められた。テヨンは、肩をすくめて、社長と声を張り上げる。

ドゥマン(チョン・マンシク)に手を回され、歩を進めた。通路の前方で、赤い血だまりがうっすらと広がっている。


片付けろと言ったろう。ドゥマンが、顔をしかめた。テヨンとドゥマンは、通路の真ん中のパイプ椅子に、腰かけた。ドゥマンがテヨンの肩を掴み、借金の返済を迫る。テヨンの顔に焦燥の色が浮かんだ。

「少し時間をくれ。すべてヨンヒが悪い」

「保証人は、あんただ」

「ヨンヒは、俺の家に荷物を置いたまま消えた。一週間、待ってくれ」

テヨンは、早口に言った。ドゥマンは、下あごを突き出す。
「今度返さなかったら、そいつが取り立てに行く」
テヨンは、振り返った。大男が、捌いた魚を口にしている。

「魚でも人でも、生で食うのが好きらしい」
ドゥマンの言葉に、テヨンは苦笑いを浮かべた。

20時の駅。テヨンは、露店が立ち並ぶ駅前通りに、ドンパルを呼び出した。ヨンヒが死んだかもしれないと声を落とす。殺してもしなない女だろ? ドンパルが、おどけた。テヨンが、憮然な表情を作る。


ドンバルは、言葉を重ねていく。
「借金を押し付けて逃げた女だろう。そんな女に入れ込んで」


テヨンが、険しい顔つきで、テヨンと向き合う。ドンパルは怯んだ。テヨンは、カモから、10億ウォンを奪うと言った。


ドンパルは、眉をひそめた。だが、テヨンの、10億ウォンは汚い金という言葉に、顔を和ませた。カモは、どんな奴かとテヨンに神妙に聞く。

テヨンは、高校の同級生だとドンパルに、笑いかける。
「詐欺を働いて高跳びを企んでいる、俺が2割もらう条件で密航を世話する。俺がそいつを港に連れていって、ドンパルが、金を奪い逃げる」
ドンパルは、不安げな表情を浮かべるも、テヨンの提案に乗っかった。


テヨンは、ドンパルと別れて路肩に車を停めた。男が、ガラスをコンコンと叩いてきた。警察手帳をこちらにむけてくる。ウィンドウガラスを下げた。スマホの画面。この人物に、心当たりはないかという。


ドンパルであった。テヨンは知らないと、とぼけた。刑事は、不満気に立ち去りかけた。だが、ゆっくりとテヨンの顔を覗き込む。刑事は同じ高校出身で、テヨンの先輩だった。


「本当に、ドンパルと同じクラスだったのに知らない?」
テヨンは、顔にうっすらと汗をにじませた。知らないと首を傾げる。


雨が降り出した。寿司店に、移動した。テヨンは、ドンパルを思い出したと声高に言った。優等生だったのに、詐欺を? と大げさに言った。隣の刑事は、無言で寿司をほおばっている。飲み込んでゆっくりと、口が開いた。


「君の立場は理解できる。犯罪者と知り合いと思われたくないよな」
テヨンは、目を逸らした。刑事の、連絡があっただろうの言葉に、硬直する。知りません……と声を絞り出した。


刑事に着信が入った。彼の同僚かららしく、「ドンパルが?」と声を張る。刑事は、寿司の会計をテヨンに押し付けて、退店した。


テヨンのスマホに、ドゥマンから電話がかかってきた。スマホ画面のドゥマンの名前を確認して、ちくしょうと呟く。港の倉庫に向かった。事務室で、ドンパルが両手を拘束されていた。


「カモはどうなった? 大金が入るんだろ?」とドゥマン。
「夏のボーナスなら大した額ではない」テヨンは、顔を引きつらせて言った。
ドゥマンは、お役人さんはとぼけるのが上手いと呆れた。


ドンパルに声をかけた。
「お前が言っていたろ『お役人さんがカモを捕まえた』と」
ドンパルは、言っていないと否定した。ドゥマンが激高する。テヨンは、約束の一週間が経過していないと慌てて声をかける。

ドゥマンは笑みを浮かべて、ドンパルを殴りつける。
「お役人さんは言った。内臓をえぐり出されても必ず金を返すと」ドゥマンは、ですよね? とテヨンに笑いかける。テヨンは、背筋を伸ばして、相槌を打つ。


ドゥマンは、誠意を見せたいなら手を差し出せとドンパルに言い放つ。手下が刃物を取り出しドンパルを羽交い絞めにする。


「思い出した。カモの話をしたよ」テヨンが、声を張り上げた。ドゥマンが「なら、ドンパルは嘘をついていないのか」と凄む。


ドンパルは羽交い絞めを解かれた。テヨンは、ドンパルと外に出る。雨に打たれながら、
ドンパルが、どうする気だと問う。テヨンは、カモを探そうと言って、スマホを取り出した。


刑事との自撮り写真を見せる。このタヌキ親父は、聞き込みを続けている。お前が、こいつを尾行すれば、カモ野郎の情報を掴める。


「警察の尾行をさせるのか」ドンパルが色めき立った。テヨンが「俺は、面が割れている」と諭す。


ドンパルは、いい加減にしてくれと泣いた。テヨンが、ラッキーストライクを買いにいって救われたエピソードを話す。これが、なければ先輩と死んでいた。俺を守ってくれるのはラッキーストライクなんだ。ドンパルに、煙草を一本くわえさえ火をつける。彼は、顔をしかめて泣いた。

果たして、テヨンは、借金を返済できるのか。


ミラン、投資失敗。夫のDV




深夜のラウンジバー。
ミラン(シン・ヒョンビン)が、休憩中に、スマホの画面を見つめている。融資限度額3千万ウォンとあった。


客が入った。ラウンジに入る。20代と思しき男が座っていた。彼の隣に座り、飲料を注ぎながら、中国から来たの? と問う。男の出身地は、桓仁だった。名前は、ジンテ(チョン・ガラム)。ミランが、韓国に来た理由を尋ねる。

「逃げてきた。人を殺めた」ジンテは、耳打ちした。ミランが、彼を凝視する。ジンテは、冗談だよ、金を稼ぎに来ただけと笑った。

ミランは、帰宅した。ソファで、うたた寝をした。夫が、帰宅する。ミランは、足蹴にされた。床に、倒れ込む。
「いいご身分だな。お前の尻ぬぐいで働いている」ミランは、顔を踏みつけられながらも、私も稼いで返済していると言い返した。

夫は、ミランの髪を掴んだ。「お前が、騙し取られた金は、いくらだ?」ミランは、羽交い絞めにされながらも、ごめん……と声を絞り出した。背後の、ソファで、スマホ画面が光った。メッセージが浮かぶ。『明日、時間ある? ジンテより』


夫から解放されたミランが、ソファに座り込んだ。掃き出し窓から、微かな朝日が差し込む。ジンテからのメッセージに気づいた。『ミランさんに、会いたい』ミランは、スマホから顔を上げた。うつろな目で、虚空を見つめる。


ミランは、ジンテと夜を共にした。彼は、ミランの背中のアザに気づいた。自身の父親を回顧し、ミランに、一生殴られ続けたいか? と問いかけた。ミランは、帰宅して、書類を開いた。無表情で、【死亡保険金 5億ウォン】の文面を凝視する。

深夜。車が、雨に打たれている。運転席にジンテ、助手席にミランの姿があった。ジンテは、ミランの夫の写真を手にしている。
「こいつがいなければ、俺たちは幸せになれる」ジンテは、ミランの頭を撫でた。


彼は、ミランを降ろし、駅前の通りに車を停めた。切羽詰まった表情で、ミランの言葉を反芻する。『夫は、バーで酒を飲み2時ごろ帰宅するわ』
雨だれのフロントガラス越しに、Bar蝶の建物が見える。扉から、傘を差したスーツの男が出てきた。ジンテは、車を走らせた。男を背後からひいた。

ミランは、自宅でぼんやりとしている。ジンテから着信が入った。『やったぞ、死体を山に埋めた』
ミランは、冷めた表情で聞いていた。通話を切った。山? 戸惑いの表情で、まったく……と吐き捨てる。スマホを見つめた。保険会社の約款である。失踪後5年で死亡と見なされ……。

「5年も待てない」消え入りそうな声で呟くと、玄関から物音が響いた。視線を走らせる。ミランの顔が凍り付く。夫が赤ら顔で、入ってきた。
何だその顔は。夫は吐き捨てるように言ってトイレへ向かった。

ミランは、ジンテに電話をかける。つながらない。来客の気配があった。玄関ドアを開けた。ジンテが満面の笑みを浮かべている。夫は、寝室で寝ていた。ミランは、ジンテを押しやって外へ出た。雨が降っていた。2人は、車に乗り込んだ。街灯の灯りが車内に差し込む。


「なら、俺が殺したのは誰だ?」ミランは知るわけないと突き放す。
「私の夫は、いびきをかいて寝ているわ」ミランは、目をむいた。ジンテは、目を閉じて大きく息を吐いた。ハンドルに拳を打ち付ける。ミランは、車を処分し中国へ戻るよう言った。彼女は後を追うと続けた、ジンテは納得しない。


後日、彼は、轢いた男の叫び声などの幻聴に悩まされるようになった。ミランは、2人での供養を提案した。彼の運転で、山へ向かう。車を停め、ジンテは両耳を手で押さえた。ミランのせいだと叫ぶ。


ミランは、心外そうに、無関係の人を殺めたくせにと呟いた。ジンテは、よろよろと、山道を下っていく。警察へ行くという。どうにかなりそうだわ。そう呟いて、ミランは、車に乗り込んだ。ジンテに突っ込んでいく。


振り返ったジンテに、ライトが照らされた。衝撃音が響いた。ブレーキをかけ、ハンドルに突っ伏す。電話がかかってきた。泣き顔で、スマホを耳に当てた。出勤日でしょう? 声の主は勤務先の女社長・ヨンヒ(チョン・ドヨン)だった。ヨンヒに助けを求めた。


彼女は、すぐに駆けつけてきた。ジンテを、山中に埋めた。不法滞在者なら探す人はいないはずよ、好きでないのなら気楽に、とヨンヒは言った。
車を処分してもらい、露天風呂に一緒に入る。


ヨンヒがミランに向き合った。「事故死体の4%しか解剖しない。私の夫も、そうだった」
ミランが戸惑っていると、ヨンヒが立ち上がる。ミランは、彼女の太ももに目を止めた。入れ墨が入っている。ヨンヒに、同じ入れ墨を彫ってもらった。


ミランは、ヨンヒから保険金詐欺の指南を受けた。指示通りに夫を殺めて、警察と保険会社を欺いた。夫の死亡保険金を、ボストンバッグに入れて、ヨンヒの自宅へ向かった。翌日の、密航手続きを話し合う。


果たして、ボストンバッグの行方は?


感想/伏線に感心



本編に、少しだけ登場するテレビの報道に驚きました。今記事の冒頭でも述べましたが、報道された人物や遺体が、登場人物の悲惨な末路だからです。本編は、現在と過去で構成されていました。冒頭のテレビニュースは、いわゆる伏線ですね。

警察に連行されたオ容疑者とは、この人だったのか。
清掃車との交通事故で亡くなったというニュースは、この人物か。
港に沈められてしまったのは、この人だろう。


彼らは、大金に目が眩んで、逮捕されたり命を落としたのです。哀れだなと感じました。そして、エンディングで、10億ウォン入りのボストンバッグを、偶然にも発見した人物が一人います。この人物は、警察に届け出るだろうと考えました。登場人物が全て『藁にもすがる獣たち』だと、後味が悪い作品だと思ったからです。

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